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尾﨑眼科だより 日時計
日時計84号（令和6年1月1日発行）
落屑とは、虹彩の瞳孔縁や水晶体表面に付着する白い粉状やフケ状の変化のことです。 落屑は最も見つけ易い緑内障の危険因子です。落屑があり高眼圧の開放隅角緑内障があると落屑緑内障と呼ばれます。 落屑症候群の有病率は加齢とともに増加します。 落屑症候群の特徴の一つは毛様体血管漏出といわれるものです。眼の中は房水と呼ばれる水で常に満たされ、隅角線維柱帯(ぐうかくせんいちゅうたい)というフィルターを通って排水路から排出されます。眼内には血液房水柵(ぼうすいさく)と言われる血液から房水への蛋白が流れ込むのを抑える機能的なバリア（障壁）があり、このバリアが障害されると、正常では血管から眼球内に存在しないはずの蛋白やコレステロールが房水内に漏出し、それらの成分が重なり合って出来る落屑物質が隅角線維柱帯に詰まりはじめ、眼圧が上昇し緑内障性視神経障害を発症します。 落屑緑内障は眼圧が高くなりやすく、悪化スピードが速いことがあります。 また、落屑があると水晶体の支えが弱くなり、水晶体が前方に偏位し、閉塞隅角緑内障になることもあります。 落屑緑内障は南九州に多いと言われており、落屑があると、15年で15％の人が緑内障に悪化してゆくと報告されています。 落屑緑内障に対しては特に、早期発見、悪化しやすい方を見極めてより早めに、より強化された治療を行う必要があります。当院も参加している国際研究チームは、全エクソームシーケンスによってCYP39A1遺伝子に落屑症候群と関連する機能欠損型レアバリアントを特定しました。さらに私たちはCYP39A1 G204E変異を有する落屑症候群／落屑緑内障患者では、失明（矯正視力０・０５未満）リスクが著しく高く、緑内障手術の介入をより多く必要としました。CYP39A1 G204E変異のスクリーニングは治療戦略策定に寄与するかもしれません。 |
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Ozaki Eye Hospital尾﨑眼科
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